映像:☆☆☆★★
キャラ:☆☆☆★★
ストーリー:☆☆☆★★
俳優:☆☆★★★
総合:☆☆☆★★
仙台市図書館に有ったDVDを借りて見ました。タダなので使わないと損である。今回は
ドラえもん 夢幻三剣士。
ドラ映画シリーズ15周年記念作品…ををう。もう40本くらい作ってるから、20年以上前なのか?
シナリオとしては、現実ではダメダメなのび太くんが、せめて夢の中だけでもヒーローになりたい、と“気ままに夢見る機”によって夢の中で世界を救う旅に出る。
ドラえもんの映画で最もスタンダードな形といえば、宇宙旅行や時間旅行をして向こうのカルチャーに触れながらも悪人を成敗する、というプロット。
その中でもかなり異質な世界設定になっているのがこの夢幻三剣士。なにせ夢である。
それでファンタジー調の話になって、伝説の剣士になって大魔王を倒しに行く…のだが…。
この作品、
不二子先生の読み切り作品によくあるブラックなジョークが感じられるのだ。
子供向け作品として観るならファンタジー世界でのお気楽な展開なのだが、要所々々での黒さが怖い。
まず注意すべきは、最初は『夢の世界に逃げ込むなんて情けない』と云っているドラえもんがいつの間にか『できれば最後までやりたい!』と宗旨変え。
変な夢を見て困ると云っていたしずかちゃんも夢の中では『あの方(のび太)となら結婚しても良い』とまで云っている。
スネ夫やジャイアンも最初は下らない夢に引きずり込むなと云いつつも、夢の中で洗脳され続け、現実世界で明確に疲れを感じている。
そう、
のび太の夢に疲れさせられたせいで、現実に悪影響が確認されているのだ。
夢と現実を入れ替えるというスイッチが登場し、現実が侵食されている様をさりげなく描いている。
そして、最終シーンではのび太たちの学校が山の上に建っており、現実世界が夢に侵食されていることが分かる。
(もともと裏山は有ったが、学校自体は平地に建っていた)
謎の登場人物、トリホーも疑問が残る。
最初は不思議なお爺さんとして現実編に登場するが、なぜか食べるだけで頭が良くなる木の実や未来デパートとの通信方法を持っていたり、夢の中で彼そっくりの怪鳥が登場する。
そしてラストシーン、やはり彼そっくりの笑い方をするロボットが気ままに夢見る機を回収し、ストーリーは終わる。
のび太が夢幻三剣士をプレイするより先に登場しており、かつ時間移動すら行っている節が有り、おかしすぎるキャラクター。
これをご都合主義として解釈するのは簡単だが、考察していくといくつか可能性が見えてくる…が、立証しようがないし、長くなりすぎるので割愛する。
普通にファンタジー映画として観ても良いが、ブラックジョークなSFとしても高水準に纏まっているのはドラえもんならでは。
子供向けと侮るなかれ、架空現実モノSFとしても十二分に観る価値のある映画である。
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