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【クウガ】MISSING MEMORYS【ガメラ】~生命~【ティガ】

 最終決戦です。 長すぎるので続きからどうぞー。
 リントの村に、対峙するふたつの山が現れていた。

 ひとつは大きな甲羅を背負った怪獣。
 頭部にクウガを思わせる二本の角、胴体にはティガを思わせる宝玉。
 二〇世紀に覚醒するガメラとは別個体であり、予期されていなかった目覚めだが全身に力が溢れている。
 云うなれば、アーリーガメラ。
 その肉体を駆動する瞳には、優しさと力強さを携えられている。
それはティガのものであり、クウガのものでもあり、ガメラそのものでも有った。

 ひとつは大きな四本角を携えた黒い大蛇。
 腕の様な前足は発達した筋肉に覆われ、全身は鋭利な鱗が装甲のように連なる。
 その姿はなにひとつの生産性もなく、死だけを撒き散らすことを目的とした容貌だった。


 ――これは見物だな――。
 遥か彼方の海岸に居たはずのラ・バルバ・デすら合流し、全てのグロンギたちが一堂に会し、戦いを見守っていた。
 この決着次第では、再びゲゲルの資格者になる可能性もあるのだから、当然である。

 魔鳥の歌が、決戦の火蓋を切った。
 ギャオスたちの大合唱。収束された超音波がガメラへと降り注ぐ。
 絶叫一発、アーリーガメラの全身が淡い紫色の光に包まれ、甲羅が拡張するように腕や頭部を覆った。
 大地の巨人の力。クウガの能力であり、能力値を変動させて防御力を偏重させた形態。

 自身の能力を使えるということに最も驚いていたのはクウガ本人だった。
 アーリーガメラは後に目覚めるガメラとは異なり、魂は有っても自我を持たない。
 足りない自我をスパークレンスの力でクウガ本人を融合させることで代用している危うい存在。
 この大地の防御形態はいうなれば副次的な作用であり、融合させた白い外套の男ですら予想していなかった機能だった。


 【…へえ、凄いな。僕と同じことができるんだね】

 アーリーガメラの内部に響いた声は、あのダグバという青年の声そのものだった。
 その意味を考えるより早く、魔竜ダグバの全身が青く光った。瞬間、魔竜がアーリーガメラの視界から消えた。
 咄嗟にクウガは倒れるように前方に跳んだ。
 一秒前にガメラが居た空間に、ダグバが土砂を巻き上げて着地していた。


 【良いね、避けるんだ】

 嬉しそうなダグバの声に、クウガは戦慄していた。
 避けられたのは戦士としての経験値にすぎない。
 直前の言葉からクウガの青龍の力…すなわち、跳躍に優れる形態であると推測し、ガメラのほぼ全周の視界から消えたとなれば、上からの攻撃であるとするのは自然な流れと云えた。
 しかし、着地と同時に放たれた一撃の重さは、青龍のそれではない。強すぎる。

 【こいつは…膂力を落とさず、速度だけを増すことが出来るのか…!?】

 現在の紫のアーリーガメラは、防御力を上げるために機動性を大幅に犠牲にしている。
 クウガの力は決して万能ではない。
 青の力で速度が増せば打撃力が、緑の力で感覚が増せば身体能力が、紫の力で装甲が増せば速度が、それぞれ基本形態である赤に比べて減退する。
 ダグバの使っているのは、その四色とは異なる無色の力とでも言うべきもの。

 【これは…辛い…か!?】

 今もなお、ギャオスの超音波の刃が降り注ぎ続けているものの、大地の力を用いれば防御はできている。
 しかし防御していても消耗はゼロにならず、アーリーガメラ自身の速度が遅くてダグバの動きに対応できなくなり、さらに口から火球を吐くという能力が使用できないことに気が付いた。
 攻撃力を甲羅に回している分なのか、大地の属性で火を扱えないのかは分からないが、とにかくその事実に震撼していた。

 そうこうしている間に、ダグバの身体が紫に光った。大地の力だ。
 魔竜ダグバは、青龍の速度のまま、装甲を纏って超音波の雨へと飛び込んだ。
 もちろん魔竜ダグバも超音波の刃に晒されているが、アーリーガメラと同じく紫の力で致命傷にはならない。
 アーリーガメラは、格闘技で云う亀の体勢になっていた。腹を内部に巻き込み、うつ伏せに丸まる。
 甲羅の中にとじ込もってはいけない。閉じこもる瞬間、無防備になった甲羅の隙間を狙われる。

 哄笑。
 魔竜ダグバは、紫の装甲と青の速度で、二本の腕を叩きつけるようにしてアーリーガメラの甲羅を破壊に掛かっている。
 生命を削る魔鳥の笛、魂を砕く魔神の拳。ガメラが、クウガが、希望が、砕けようとしていた。心が屈する。
 そんなとき、ガメラの目の前に何かが落ちてきた。悶えるそれはギャオスだった。全身に何十本もの矢を刺され、落ちてきた。
 矢の方向へと意識を向ければ、手に弓矢を携えたリントの村人たち。男たちがほとんどだが、中には女や老人、子供の姿も散見された。
 なぜかということも考える脳は無いが、射られる矢を鬱陶しいとでも思ったのか、一匹のギャオスがリントへと襲い掛かる。
 ただの弓矢ではよっぽど当たり方が悪くなければギャオスにはダメージにならないというのにリントたちは下がらない。矢を射ていく。
 その内、リントの武器が光り輝いた。天馬の矢銃。クウガのそれとほとんど変わらない銃へと変貌していた。
 何発かの光の矢がギャオスを貫くが、それでもなお、リントへと襲い掛かる。
 【逃げろ、逃げてくれ!】 クウガが心の中で絶叫する、その絶叫を掻き消すような雄叫びと共に、剣が一閃する。

 それはクウガに武器提供を買って出た青年、ナガノだった。
 その手に有る刀は、クウガの紫の剣とほぼ同じものであり、表情には決意と闘志で溢れていた。

 しかしなぜ今? リントたちは今まではグロンギに戦いを挑もうとすらしていなかったのに、今になってその何倍もの大きさを持つギャオスに戦いを挑んでいる。


 【絆だ】
 【絆?】
 【人は、自らの力で道を選ぶことができる。今、リントの民は…かつてギジェラによって安息の死を受け入れた民とは違う! 苦しみの中でも君と共に戦う道を選んだ!】
 クウガと融合している光が…白い外套の男は興奮していた。
 彼がかつてルルイエやアトランティスで望んでいた人の戦う意思だった。
 しかし、クウガの抱いた感想は真逆だった。
 【リントに戦いを教えたのは俺だ。俺が剣でグロンギを刺し殺すのを見ていた。弓矢で撃ち殺すのを見ていた。殴っている姿を見て、争うということを覚えた】

民の命を守るためとはいえ、クウガは“英雄”にならざるを得なかった。
 英雄を称える中、リントの中にも英雄的性質が発生していた。それこそが“争う気持ち”であり、戦ってでも愛する者や自らを守るという方法論だった。
 【英雄は…俺一人で良い…傷付くのも、傷付けることを知るのも…】


 戦うことを選び、苦悩の中で生きていくことが“光”なのか?
 戦うことなく温厚に、穏やかに死を受け入れることが“光”なのか?


 そんなことは誰にもわからないのかもしれない。その答えは永遠に出ないのかもしれない。
 だが、生きなければ。少なくとも今この場で死んでしまえば、その答えは分からないままだ。
 【へえ…リントもそういうのを使うんだ…楽しそうだね】
 静かで狂暴な声が聞こえた。ダグバはアーリーガメラを突破すれば、次は確実にリントたちを襲う。
 守る。そう決めた。その意志は揺るがない、揺るがしてはいけない。
 ギャオスの超音波攻撃が減り、ダグバの注意が一瞬薄れた瞬間、アーリーガメラは紫から青へと姿を変えた。超変身だ。
 装甲が一気に薄くなり、身軽になったアーリーガメラは魔竜ダグバの下方から飛び出すように抜けた。
 それはクウガの姿を変える能力であり、物質を原子レベルで分解して再構成する能力であり、甲羅の傷も修繕される。
 しかし、失われた体力、流した血、裂けた肉は戻らず、赤・青・緑・紫をひとつずつしか使えないということは変わらない。

 「クウガーーッ! 俺達も戦う! 戦えるから! ひとりになんかさせないっ!」

 ナガノ青年が叫ぶ。
 自分が戦いに巻き込んだ。自分がリントたちに戦うという言葉を教えてしまった。
 そんな自責の念とは別に去来する思いがある。寂しさを拭うような温かさ。誰だって誰かが必要で、ひとりではないという思い。
 矛盾している。分かっている。それでもこの温かさは確かに感じている物だから。


 【行くぞっ! みんなッ!】


 アーリーガメラが光り輝く。
 リントたちが持っていた銃や剣にも同じ光が有り、その光が流れとなってアーリーガメラに降り注ぐ。
 いや、光の流れはそれだけではない。日本各地から光の柱が立ち昇り、それぞれがアーリーガメラへと降り注がれていく。
 その光が何かを気が付いたのは、グロンギたちだった。
 「俺がゲゲルを成立させた村から?」
 「あちらはネズマとザインが封印された地…だな」
 それぞれクウガが出向き、グロンギたちと戦った地。
 守り切れなかった命、それでも戦おうとしたクウガの背中。
 止められなかった涙、それでも生きようと決めたリントたちの意志。
 後世、真のガメラによって宇宙植物に向かって放たれることとなる究極の一撃とは似て非なる現象。
 その光をマナと呼ぶ人々も居る。心の光と呼ぶ人々も居る。光輝なる聖獣・グリッターガメラ。

 【へえ、そんなこともできるんだ】

 グリッターガメラの咆哮が木々を揺らした。
 今、グリッターガメラはクウガであってクウガではない。見守るリントの民でも有り、そうでもない。
 日本列島の全ての人々の涙を甲羅に背負い、グリッターガメラは黄金に輝く。
 その輝きは後のクウガの金の力にも似ていた。封印力が全身から吹き上がっているようでもある。
 魔竜ダグバも迎え撃つべく白の力を発動させる。赤青緑紫とは比較にならない力。
今までは全力ではなかった。遊んでいた。究極の闇に匹敵し得る究極の光、魔竜ダグバがグリッターガメラを強敵として認識した。

大地を揺らし、大気を裂き、二体の巨獣が跳んだ。
互いの爪牙が甲羅を割り、鱗を撒き散らし、鮮血が池を作る。歓声を送る者もいる、祈る者もいる。奇妙な時間だった。
リントもグロンギも、互いに対する全ての感情が麻痺し、殺人者と被害者たちが、虎と兎が、ただ同じ運命を眺めていた。

ただ、時間が流れる。グリッターガメラの輝きで昼夜も分からない。
戦いがほんの数秒のことだったのか、何日も続いたのか、誰にも認識できていなかった。
 だが、決着のときが来た。

 グリッターガメラの肘打ちが魔竜ダグバの胸部の皮膚を裂いた。致命傷ではないが、そこに融合しているン・ダグバ・ゼバの人間態が露出した。
 もう一撃叩き込めば潰せる! グリッターガメラが思うのと同時に、ダグバの口が笑みに歪んだ。

 「ごめんね、油断したよね」

 魔竜ダグバの両腕が祈るように合掌する。合わさった一〇本の爪はひとつの剣となり、グリッターガメラの顔面を貫いた。
 傷と云うには大きすぎる穴から炎が上がり、ガメラの全身から力が抜けた。
 グリッターガメラの光が消え、魔竜ダグバが腕を引き抜くと、アーリーガメラが力なく膝を突いた。
 倒れゆくアーリーガメラから一つの光が飛び出し、決着にここまでで一番の笑みを浮かべるダグバの腹部を打った。
 もちろん、赤のクウガの炎の跳び蹴りだ。

 「油断、したな?」
 「なるほどね。僕の霊石が狙いだったんだ」
 一度倒れかけたアーリーガメラの両腕に力が漲る。両腕を広げて魔竜ダグバへぶちかましを掛け、そのまま投げ飛ばすように体を捻り、地面へと倒れ込む。
 その先にはグロンギたち。巨体な倒れ込みに対し、彼らは戦いに目を奪われたことから、完全に初動が遅れていた。

 『がぁあああああああああああ!?』

 倒れ込んだとき、アーリーガメラと魔竜の身体が一瞬輝いた。
二体の巨体が超変身のときの力で分解され、全体に封印力が広がっていく。

 「すごいね、みんなを巻き込んで封印するんだ」
 「お前は逃がさん…! 俺が何万年でも付き合ってやる…!」
 「それは…退屈し無さそうだ」


 戦いが終わった後には、山が一つ増えていただけだった。
 この山は、後にクウガの眠る山、九郎ヶ岳と呼ばれた。

 全てが終わり、リントの青年・ナガノはクウガの馬に乗り、残ったもう一体の邪神・柳星張を封印する地を探し、そこで子を成した。
 封印を解いて殺すことはできたかもしれない、しかしリントには無抵抗の命を奪うという概念が存在していなかった。
 この一族は後に分化していき、ある者はその場に留まり、ナガノが紫の剣として用いた剣を十束の剣として奉る一族となった。
 別の一族は世界が闇に包まれるとき、邪神を目覚めさせ融合する一族となった。
 さらなる一族は自分たちのことを忘れ、ただの人間として生きることとなる。
その日まで自分自身が光となれることを忘れたまま…。



 本 編 に 続 く !!

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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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ママチャリ日本一周するために仕事を辞める変人。
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