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CASSHERN(キャシャーン) 感想(総合:☆☆☆☆★)

 映像:☆☆☆★★
 キャラ:☆☆☆☆★
 ストーリー:☆☆☆☆★
 俳優:☆☆☆★★
 総合:☆☆☆☆★

 動画配信サイトで映画を観ています。今回はキャシャーン
 50年に渡る長い戦争を経たレトロフューチャーなディストピア。
 疲弊した世界。とある科学者はいかなる細胞にもなることができるという新造細胞を完成させたという。
 しかしながら、時代から先を歩きすぎた技術は学会に受け入れらることはなく、軍部によって極秘裏に研究を進められることとなった。
 そんな中、新造細胞が暴走を起こしてしまい、新造細胞同士が結合・新たな人造人間として動き出した。
 彼らを処分しようとする軍部から逃げのび、人類に戦いを挑む。
 立ち向かうのは、戦争の最中に死亡した科学者の息子。彼はキャシャーンとなり、“戦争”に立ち向かっていく。

 劇場用“アニメ”として作らなかったことで、特徴的になった異色作。

 時代的にiPS細胞が出る前、万能細胞という言葉が浸透していないタイミングで制作された映画としては珍しいSF解釈を行っている。
 原作アニメのキャシャーンとは解釈が異なる中、このアイデアは単純に秀逸だし、そのテーマを最後まで走り切っているのも魅力的。
 反戦作品としては在り来たりなセリフ回しを行っているが、それだけにストレートに染み込んでくるし、俺は嫌いじゃない。
 この作品は映像のアイデアを楽しむ作品であり、そういう意味でも制作者の意図通りでもある。
 映像作りで頑張っているが、シナリオやキャラクター的にはシンプルに纏めており、最後の真相に関してのどんでん返しまで直進。
 ラスト辺りの展開は原作とは大きく異なるが、それ故に予想外の展開で、大きな衝撃を受ける。

 アクションシーン自体も少なく、アクションそのものというより、アクションのアイデアを楽しむ構成になっている。
 具体的には出ている俳優さんがほぼほぼアクションが出来ないメンバーだが、長尺のアクションシーンが皆無で有り、ワンカットが5~10秒前後。
 アニメ的演出(走っているときに集中線を入れる、顔の映像をフラッシュバックのように表示する)が多く使うことで、身体の動きとしてのアクションには目が行きにくい。
 ジャッキーチェン的な肉体を使った格闘演出は少ないところも、趣味によっては気になるかもしれない。

 アニメの実写化で原作再現をすること自体が無意味だと思うが、それを求めるキャシャーンファンには間違っても勧めない。
 (なにせアニメはそこで完成形であり、それを改変するのだから大概は劣化しかしないのも当然)
 というか、テレビアニメ版の設定ではなくOVA版を準拠している部分も散見され、全く異なる二作品を実写化している。
 この辺りの合成にもセンスを感じるのだが、まあ、好き好きである。

 本編は常にCGで描かれており、何かのPVっぽい映像作りになっている。
 全シーンを名シーンにしようとするというか、アイデア溢れる画面作りを心掛けているのが伝わってくる。
 意欲的であり、かつそれを最後まで貫徹して作品として仕上げているというのは、それだけで美点である。


 あと、この映画、最初にテレビ放送で観て、今回動画配信サイトで見直してビックリしたことがありまして。
 テレビ版ではラストの新造人間たちのシーンに、宇多田ヒカルの『誰かの願いが叶う頃』が流れていて印象的だったんですが、
 ビデオ版では新造人間たちのシーンを普通に放送して、その後にエンディングという普通の構成。
 まー、テレビ版では尺と視聴率の都合もあるから、エンディングだけの放送はやりたがらず、ラストシーンでテーマを流したんでしょうが、怪我の功名であっちの方が良いな。

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